やまなし

2023.7.5

ひきかにの子供らが青じろい水の底で話していました。
『クラムボンはわらったよ。』
『クラムボンはかぷかぷわらったよ。』
『クラムボンはねてわらったよ。』
『クラムボンはかぷかぷわらったよ。』
 上の方や横の方は、青くくらくはがねのように見えます。そのなめらかな天井てんじょうを、つぶつぶ暗いあわが流れて行きます。
『クラムボンはわらっていたよ。』
『クラムボンはかぷかぷわらったよ。』
『それならなぜクラムボンはわらったの。』
『知らない。』
 つぶつぶ泡が流れて行きます。蟹の子供らもぽっぽっぽっとつづけて五六つぶ泡をきました。それはゆれながら水銀のように光ってななめに上の方へのぼって行きました。